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出力の安定しない再生エネルギー電源を活用するために

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平成27年度活動報告 第4回「出力の安定しない再生エネルギー電源を活用するために」

環境・資源科学研究所 次長 三宅淳一

1.再生エネルギーの増大

固定価格買取制度によって、再生エネルギー電源の導入が大きく進んでいる。経済産業省のホームページ所収の資料1)によれば、2015年11月末時点での、買取対象となっている再生エネルギーの発電設備の出力は表-1のとおりである。

表-1 固定価格買取制度による買取対象である再生エネルギー電源の出力(2015年11月末)

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注) 表-1は固定価格買取制度の対象となっているものだけである。中小水力や地熱発電所はこの他に事業用の発電所が数多く存在しているため、その全体像を示す値ではないことに注意されたい。

全国の電源設備の出力の合計は2億kW程度であろうから、2009年11月の太陽光発電の余剰電力買取制度の開始以来、短期間のうちに、全電源設備の1/10を超える出力規模となっていることは驚きであり、その意味では固定価格買取制度は成功であったといえるだろう。なかでも非住宅の太陽光発電が2,000万kWを超えるまでに至ったことは筆者の想定外であった。

2.出力の安定しない再生エネルギーの功罪

2.1 あてにできる発電とあてにできない発電

表-1の再生エネルギーのうち、太陽光は日照まかせ、風力は風まかせだから、出力はそのときの気象状況によって激しく変動する。中小水力も川の流れまかせなので、出力は変動せざるを得ないが、川の流量が分単位で大きく変化することはないので、おおむねの出力は予想できる。地熱の出力はトラブルが発生しない限りほぼ安定している。バイオマスは投入する燃料しだいであるから安定的であり、人為的に出力をコントロールすることも可能である。
この特性を踏まえれば、太陽光と風力はそのときどきの状況次第で、あてにしたい出力が得られるとは保証できない電源、その他の中小水力、地熱、バイオマスは出力をあてにできる電源といえる。
あてになろうがなるまいが、電気を生んでいるのだからいいじゃないか、とおっしゃる方も多いだろう。なるほど出力は安定していなくても、CO2発生量の少ない電気エネルギーを供給できることは功といえる。しかし、日本のように質の高い電気を供給し続けるためには、その時しだいの勝手きままな出力の発電は、罪とまでは言い過ぎにしても、悪影響を与えかねない存在であるといわざるを得ない。

2.2 質の高い電気とは周波数が安定していること

電気の質が高いとは、周波数や電圧が安定していることをいう。周波数や電圧を一定するためには、電気の需要に見合った発電を常に行い、需要のkW=発電のkWを常に保たなければならない。
発電能力の不足といえば、第二次大戦後をご存知の方は、白熱電球が蝋燭や線香の明かりのようになる蝋燭送電とか線香送電を連想されるだろうが、今の日本ではそのようなひどく不足した状態にはならないだろう。しかし、変動する需要と発電が完全にマッチし続けることは至難であるため、周波数は微妙に変動し続けている。発電がやや足らない場合には、電圧は保たれても周波数の低下が発生し、多すぎると上昇するのである。日本は50Hz地帯と60Hz地帯に分かれるが、現状では、いずれも0.05Hzか、大きくても0.1Hz内の変動になっていると思われる。これは世界的にも最高の品質といえる。
周波数が変化してなにが悪いか、日常生活に近い例でいえば蛍光灯のちらつきがあげられる。日本人の黒い目はあまり敏感ではないようだが、白人はどうも弱いようだ。30年前の沖縄県はあまり電気の質がよくなくて、1Hzくらい低下することもあったようだが、そのような時にはホテルからの照会が多かったと聞いた。白人客からのクレームを受けたものであろうか。
一方、工場関係ではモーターの回転が一定とならないという切実な問題を生むことになる。某電力の管内で、落雷により1分ほど周波数変動が続いたが、その間に、製紙工場では厚さの狂ったトイレットペーパー、新聞紙などの不良品の山が築かれてしまったとのことである。
周波数は電気の安定状態を示す指標であり、周波数が一定になるように発電所の出力を常にコントロールしている。具体的には朝、昼休み、夕、夜といった時間帯ごとの大きな変動はLNG火力、石油火力、大出力の水力発電所といった大ぶりの発電所の出力を変化させ、細かい需要の変動による小さな周波数変動に対しては水力発電所の出力を常に変化させて、ピタリ50ないし60Hzになることを目標に調整している。こういう状態にあって、太陽光や風力発電の勝手気ままな発電をそのまま受け入れることは迷惑であり、周波数の安定を犯し、停電を引き起こす危険性さえ考えられる。