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ポンガミア-BDF原料として有望な非可食性油脂植物

10. ビジネスモデル

10.1 東南アジア地域での事業化可能性について

ポンガミアの油脂生産能力はパームに比肩できるレベルといわれ、ビジネスとして注目されている。オーストラリアではすでに中小規模の複数のプランテーションが建設され、今後2~3年で本格的な収穫が開始される。熱帯地域の作業でも機械化が見込めること、収穫が年1回の短期間(1カ月間程度)であることなどから、労働生産性の面でも期待が大きい。

気候的には、東南アジア諸国はオーストラリアよりも雨量が多く、この栽培に好適であると推定する。なお、種子鞘が台風被害を受けることが少ない地域としてのタイやミャンマーの森林地帯、非営農地などで栽培を試みる価値はある。

また、ポンガミアに好適な気候条件が近いオイルパーム・プランテーションの東南アジアでの位置を図表10.1-1に示す。インドネシア、マレーシアでは経済的理由により、泥炭露天掘りの後に修復処理を施していない場所が多いが、ここにポンガミア・プランテーションの適用が期待できる。カリマンタンでは、コマツが既に他の植物との混植を実施し、BDF生産とそれを採掘用大型トラックに採用している。

図表10.1-1 タイを含む東南アジアのオイルパーム・プランテーション

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出典:UNEP Global Environmental Alert Service(GEAS), 2011/12.

タイでは、オイルパーム・プランテーションはマレー半島部に集中している。タイ国中央主要部は、農業生産が進んでいるが、オイルパームにとっては恐らく北限を超えている。これらの地域の非営農地でポンガミアのプランテーションが可能と期待できる。現在タイ国内で進められている3カ所の試験プランテーションはこうしたタイ国中央主要部にある。

10.2 プランテーション事業

BDF事業を可能とする条件は、先ずは、低廉で豊富な非可食性植物油やバイオマスを大量に生産することにある。ディーゼル燃料の需要はタイをモデルにすると11,273kT/y(2010年)であり、仮にB10の混合を前提にすると120万t/y 程度の植物油(同国パーム油生産量に匹敵)が必要となる。パーム油反収を6t/haとすると、20万ha、ポンガミアでは24万haのプランテーションが新たに必要となるが、これはタイ国内森林面積の2%で、河川の近隣非農耕地に1km幅のプランテーションを設けることで達成されるから、非現実的という訳ではない。ともに品種改良が進み、栽培寿命20年で高反収型苗の開発が進むことから、これだけの土地を確保しておれば、油脂生産量も今後さらに増加する可能性は大きい。

ビジネスモデルとしては、図表10.2-1のようなプランテーションをイメージした。

図表10.2-1 ポンガミア・プランテーション事業のイメージ

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ポンガミア・プランテーションでは、労働生産性向上のために、収穫作業などの機械化を進めることが望まれる。収穫期間は年1カ月間程度であり、労働力、機械の効率的運用を達成するため、他の高収益性植物(嗜好品、果実、食料など)の併産、間作は必須と思われる。

収穫作業の機械化(Mechanical picking)に関しては、米BEI International社がアーモンド収穫と同様の振動式装置を発表している。

なお、インド、東南アジアを中心にジャトロファ栽培への意欲低下は深刻であるが、日本植物燃料(神奈川県)がアフリカ・モザンビークでジャトロファの栽培委託とバイオ燃料事業を発表した。また、遺伝子解析などにより、品種の選定と改良に成功、野生種の20倍の反収を得たとしている(日経産業新聞、2014/03/11, p12)。将来はジャトロファも見直されるかもしれない。

10.3 LCA分析

インドの複数研究機関とイギリスのコベントリー大学の連名で、インドKarnatakaでのポンガミア栽培とBDF製造に関するLCA解析を報告している。ポンガミア・プランテーションでのBDF生産は化石燃料系ディーゼル燃料、ジャトロファBDFに比較して大幅にCO2負荷が低減できることが確認された。始めにLCA分析のための境界条件を図表10.3-1、評価項目を図表10.3-2に示す。図表10.3-3に示す結果で、ジャトロファに対する優位性は施肥量、反収などの差の反映である。

図表10.3-1 LCA評価のための境界条件

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図表10.3-2 LCA評価項目

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図表10.3-3 LCA 評価結果

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出典:L.A.Chandrashekar et al., Agric Eng.Int.:CIGR Journal p.67 Vol.14(3),2012.