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ポンガミア-BDF原料として有望な非可食性油脂植物

8. ポンガミア油の生産コストと収益性

オーストラリアのBioenergy Australiaが報告したポンガミア油の生産コスト例や収益性を紹介する。すでに複数の機関からの発表があるが、オーストラリア政府機関が中心になって作成したBioenergy in Australia Status and Opportunity報告書(2012年)が中心で、信頼性は高い。ただし、これらの計算値は、これまでのフィールドテストの検討結果からの算出であり、商業生産の実績に基づくものではない。ポンガミア・プランテーションの経年的運営経費を図表8.1に、目標事業イメージを図表8.2に示す。

図表8.1 ポンガミア・プランテーションの経年的運営経費

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単位:US$/ha、出典:Daniel Klein-Marcuschamer et al, Biofuels, Bioproducts & Bioprocessing, 2013; L Rangan et al, J Crop Sci Biotech, 13(3) p127(2010); NOVOD Report, 2009.

図表8.2 ポンガミア・プランテーション事業のイメージ

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出典:Bioenergy in Australia – Status and Opportunities-, by C Stucley, S Schuck, R Sims, B Marino, M B orowitzka, A Abadi, J Bartle, R Giles, Q Thomas, 2012

図表8.3にポンガミア油生産コスト項目及び報告値、図表8.4に油脂生産事業の収益性、図表8.5に副生物評価を見込んだポンガミア油生産コストを示す。

図表8.3 ポンガミア油生産コスト項目および報告例

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出典:Bioenergy in Australia – Status and Opportunities-, by C Stucley, S Schuck, R Sims, B Marino, M B orowitzka, A Abadi, J Bartle, R Giles, Q Thomas, 2012

図表8.4 油脂生産事業の収益性

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出典:Bioenergy in Australia – Status and Opportunities-, by C Stucley, S Schuck, R Sims, B Marino, M B orowitzka, A Abadi, J Bartle, R Giles, Q Thomas, 2012

IRRの結果は、40kg/tree/yearの収穫があれば、事業性がある事を示す。

図表8.5 副生物評価を見込んだポンガミア油生産コスト

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出典:Bioenergy in Australia – Status and Opportunities-, by C Stucley, S Schuck, R Sims, B Marino, M B orowitzka, A Abadi, J Bartle, R Giles, Q Thomas, 2012

副生物評価を見込むと見かけ生産コストは低下し、収益性は高まる。

これまでに入手した機械化、肥料、労務費などの情報を加えて、ポンガミア、パーム、ジャトロファの油脂のプランテーション生産コストの算出を試みる。ベースはPeter Gresshoffの報告であり、結果を推算根拠とともに図表8.6 に示す。ポンガミアとパームはほぼ同じコスト(引継ぎ価格)で生産可能であり、ジャトロファの1/2以下と推定する。図表8.7にはポンガミアについて、変動費、固定費の内訳を示す。さらに図表8.8 には、3種類の油脂の変動費、固定費を比較する。ジャトロファは反収が低い上に、収穫作業の機械化が困難なため固定費(人件費)が高い。

図表8.6 油脂生産コストの比較

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単位:US$/t、注:Pongamia pinnata生産経費はCSIRO報告値を参考、40L/tree/y,Palm, Jatrophaは前提から推算

図表8.7  ポンガミア油脂のプランテーション生産コストの構成

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図表8.8 3種類の油脂のプランテーション生産コストの構成比較

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試算結果では、ポンガミア、パームの油脂引継ぎ価格はほぼ等価となる。この計算では土地購入費が含まれていないが、パーム油生産や他の農業生産が可能な地域にポンガミア・プランテーションを計画することはないと考えられるので、土地代金でポンガミアの生産コストがパーム油より高くなるとは考え難い。ジャトロファは反収が低く、変動費、固定費とも両者より高くなる。今回の試算では2倍以上の油脂引継ぎ価格となる。なおこれらのプランテーションでは副生物(飼料、バイオマス燃料、排水処理でのメタンなど)も期待されているが、一次産業として確立するまでは考慮しない。

以下にオーストラリア・クイーンズランドでの植栽の写真を示す。

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