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バイオマス半炭化への期待と課題

商業上の課題

1.経済性の最適化

最終的に半炭化開発業者は、経済性が成り立つように半炭化プロセスの最適化を目指す。例えば処理量を上げることにより商業的にメリットが出てくるとすれば、多少効率や収率が落ちても、実際には経済的に有効な方を選択することになる。半炭化の経済性は原料と製品の値巾に強く影響を受ける。半炭化開発業者にとっては、バイオマス原料に対して、十分経済性が成り立つように交渉を進めて行くのが一つの仕事であり、その上で半炭化製品プロセスの効率を計り、製品収率を最適化してコスト負担を出来るだけ少なくするような方向を目指すべきである。

2.製品の標準化

半炭化製品のマーケットを広げるためには、製品の標準化が必須条件となる。もし半炭化製品供給者達がそれぞれ異なった仕様の物を作れば、半炭化製品のマーケットは好ましい形で発展することはない。それとは反対に、製品の標準化が進めば半炭化製品は一般的な物になり、市場での取引量も大きくなるであろう。さらに、標準化により半炭化バイオマスを商業的にベースに乗せようとしている供給者と、それに対して、標準化の努力を怠る供給者の間には、おのずと大きな差が生まれる。製品の標準化を進めて行くに当たっては、半炭化製品供給者と公共事業体もしくは他の消費者の間で協力関係を築いていくことが重要である。消費者には半炭化製品を購入してもらい、その経験的なことを半炭化製品供給者にフィードバックして、具体的に内容を伝達してもらう必要がある。供給者はその要求を半炭化プロセスに生かして、プロセスの最適化を計るようにしなければいけない。両者は満足な品質の製品を作るための努力を惜しんではいけないし、それにより日常品マーケットが早期に発展すれば、両者は製品価格の上で大きな利益を得ることが出来るようになる。

3.資金調達

半炭化技術開発には、他のもう一つの重要なハードルとして資金調達がある。ほとんどの半炭化開発業者及び供給者は規模の小さな会社であり、財政基盤には弱いものがある。その結果、彼らはしばしば銀行借り入れに依存するようになり、実際にその借り入れ受ける為には半炭化製品入手先との長期の契約が必要になる。公共事業体のような大きな購入先は、半炭化製品を使用するに当たって、プロセス上、半炭化製品に不安定要素があれば、長期の契約にサインすることは有りそうもない。その不安定要素解消のために、石炭混焼のテストを行うには、大量の半炭化製品を用意する必要がある。このことは一つのデッドロック(膠着状態)をもたらすことになる。というのは、半炭化製品供給者はより多い資金を調達するためには、設備をスケールアップして大量の半炭化バイオマスを用意しておくことが必要条件になるが、その反面、まずスケールアップするために資金調達が必要になり、それが出来ないと大量の半炭化バイオマスを用意することは出来ないからである。このようなことは実際にオランダで起きていた事例の一つだが、リスクを選択してもプロジェクトを進めていこうとする2~3の業者によって膠着状態はクリヤーされた。その結果、オランダでは三つの半炭化製品供給者が彼らの技術をスケールアップし、商業的実証プラントを建設するに至っている。さらなる資金を調達するためには、プラントの能力を100,000t/年の生産量まで高める必要があるし、また、この程度の能力を持たせることが一般的な半炭化の開発目標となってくる。

所見及び考察

今現在、半炭化技術は商業化にむけて第一歩を歩み出したところであり、その技術や製品の品質はいまだ不安定なところがある。にもかかわらず、欧州におけるいくつかの公共事業体 (Essent B.V., DELTA N.V.)は、半炭化製品供給者とリスクを犯しても長期の契約を結んでいるし、他の事業体 (RWE lnnogy)もまた半炭化開発に加わり、半炭化技術というものに勢いを与えつつある。

欧州における半炭化開発者、供給者、公共事業体は、2011年の初めに三つの商業的実証プラントを立ち上げ、半炭化の発展に対して牽引車の役割を果たそうとしている。一方の北米での半炭化開発は、いまだパイロットスケールの状態にあり、商業的実証プラントにまでスケールアップするには、さらなる研究開発、資金調達の努力を重ねなければいけない。しかしながら北米においても、欧州での経験や学習を取り入れることによって半炭化開発の速度を早めることが可能になる。

初期の段階における半炭化技術は、対象原料に制限があり、木質バイオマスの処理に適合するように出来ている。それは、バイオマスとして調達しやすいこと、装置の性能を出すために技術的な制限が少ないこと、木質バイオマスが経済的に適合しそうだ、などということに起因している。そういうことで、公共事業体としては混焼燃料としてプラントの性能に悪影響の少ない純度の高い木質系バイオマスを選択する形を取っている。半炭化製品供給者はまた、他の一連の廃棄物(例えば農業系残渣やRDFなど)に半炭化処理を行うための技術的、経済的適合性を模索しているところである。

半炭化技術として、主なる三つのプロセスパラメータ(温度、粒径、滞留時間)を確実に制御できれば、より高い効率とより良い品質の物を得ることが出来る。熱組み合わせのオプションでバイオマスを直接加熱する形式のものは、一般的に高効率及び高品質の物を得ることにつながる。それは熱の伝達がより効率的であり、完全炭化へのリスクが少ないからである。

半炭化製品のマーケットは、一番はじめに公共事業体が大量のバイオマスを混焼燃料として使用したいという動機により展開された。しかしながらマーケットのポテンシャルとしては、住宅の暖房及び工業的な燃料としての用途にも発展する可能性を持っている。これらの市場の中では、半炭化設備に対してそれぞれ違った要求や処理条件が課されることになり、半炭化製品の供給サイドで仕様に適合出来るようにシステムを改良して行かなければいけない。

半炭化技術についての総括

福島の第1原子力発電所の事故以来、脱原発とそれに変わるエネルギーについて、今後どのようにしていくか、いまや日本の大きな課題となっている。代替の新エネルギーとして、バイオマスはその一翼を担うものであるが、バイオマスエネルギーに付加価値を与える半炭化技術について総括する。

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上記の表は、木質ペレットと半炭化ペレットを比較したものであるが、半炭化ペレットの方が、体積当たりの熱量、重量当たりの熱量とも高い値を示しており、半炭化処理によりエネルギーとしての価値を高めていることがわかる。また、半炭化処理された物でも、最終的に1~5%の水分を含んでおり、半炭化処理の過程で揮発分と水分が、各々蒸気圧に比例して蒸発している。

半炭化物の熱量比の高くなる要因としては、次のようなことが考えられる。

  1. 木質ペレットに比べ、含水率が少ない。
  2. 見掛け密度が大きくなり、相対的に体積当たりの発熱量が大きくなる。
  3. 炭素量の割合が増えることにより、発熱量が大きくなっている。

バイオマスは、いまや代替新エネルギーとして、非常に大きなポテンシャルを持っている。その半炭化技術は、いまだチャレンジすべき課題を含んでいるが、エネルギーに付加価値をもたらすためには有効な技術である。

文献

1)バイオマス資源を原料とするエネルギー変換技術に関する調査、RITE、1998~2000.
2)C.P. Kleinschmidt, IEA Bioenergy WS Torrefaction Austria, 2011.
3)C.Schon, Center of Experties-program in Finland, 2012.
4)無錫亜馬登(大和)乾燥設備有限公司 高塚義雄 私稿