1. TOP
  2. 環境・資源科学研究所
  3. バイオマス半炭化への期待と課題

バイオマス半炭化への期待と課題

半炭化技術の課題

1.種々の原料への対応

半炭化技術開発における初期段階の原料として、主には対象が木質バイオマスに限られている。効率的に良質の半炭化製品を作るためには、原料を供給するに当たって、水分、見掛け密度、粒度分布を正確に制御の中に取り入れる必要がある。パイロットプラントで木質以外のバイオマスを処理しようとする場合には、技術的や経済的な課題がなお存在する。例えば農業系バイオマスを例に取ると、半炭化の工程で発火したり、容易に炭化のプロセスまで進んでしまう。また農業系バイオマスは比較的見掛け密度が小さいため、木質バイオマスと同等の発生熱を得ようとすれば、供給系のサイズをかなり大きいタイプの物にする必要がある。大抵の装置は、装置自体の大きさとバイオマス供給能力に制限があり、そのこと自体が経済性に絡んでくる。一番はじめの商業的な実証プラントにおいては、種々のバイオマスに対して、技術的及び経済性の最適ポイントを経験により求めなければいけない。時によっては、ある種のバイオマスを処理する場合、仕様変更を余儀なくされる場合も出てくる。半炭化技術における初期段階の原料としては、明確に木質バイオマスを要求されることがある。その理由としては、多くの公共事業者としては、彼らが持っているプラントに対して負の影響を及ぼす廃棄物を混焼させたくはなく、木質バイオマス以外の他のバイオマスを使うことで起きうる労働ノルマの増加を避けたいからである。それにもまして木質バイオマスにこだわるのは、木質バイオマスは一年を通じて広く手に入りやすいが、一方、新しく出てくるバイオマスは入手に制限される場合が多いからである。

2.排ガス

半炭化ガスは有機酸と一次タールを含んでおり、二次燃焼炉で熱分解する必要がある。半炭化工程で生じたタールは二次燃焼炉で熱分解されるが、製品や装置の中で凝縮するとき大きな問題になる場合がある。半炭化の温度が増加すると、タールの発生が急激に増える。それ故、この問題は注意深く扱われなければならない。二次燃焼炉の稼働は半炭化ガスの性状に強く左右される。半炭化ガスが多くの水分を含み、それにより熱量が減少傾向にある時、燃焼炉での負荷が増える。その時に半炭化ガス中の水分も、約300゚Cから少なくとも900゚C程度まで加熱されることになるので、半炭化プラントの熱効率を下げることになる。テストで見られたことは、半炭化ガスが二次燃焼炉で処理された後も、排ガス中にはフッ化水素、SOx、NOxが存在し、排ガスとして大気に放散する時は、それらを規制値以下までに取り除かなければいけない。それ故、追加的な排ガス処理装置が必要になってくる。半炭化開発業者は、活性炭などを吸着助剤として使用しながら、バグフィルターやセラミックフィルターを設置して排ガスの性状を改善している。もう一つの方法は、半炭化ガス中の有機分を洗浄塔などで凝縮させることであるが、洗浄塔から出た後の水処理を行う必要がある。バイオマス半炭化の排ガスはIPPC (International Plant Protection Convention:国際植物防疫条約)によっても規制を受け、近い将来はバイオマスの維持基準などのようなものによって制約されることになる。後者の基準はバイオマス有効利用におけるCO2排出削減の観点から考慮されることになる。このことにより、半炭化工程においては出来るだけCO2の排出量を軽減するようにプロセスを考えなければならない。バイオマス半炭化の排ガス処理は、メインの技術的課題となるとは予想されないが、その処理方法については十分取り組む必要がある。いくつかの半炭化製品供給者からは、原料を前処理して、灰、塩素、硫黄分、また時にはアルカリ濃度を大きく下げたらどうかとの提案を聞くこともあるが、典型的な半炭化条件 (260 – 300゚C/25 -30 分)と上に述べた排ガス処理設備を備えていればこのようなことは問題にはならない。この程度の温度範囲であれば、塩素と硫黄分の蒸発はわずかであり、一方ではアルカリ分もバイオマスの中に留まることになる。

3.スケールアップ

開発業者が行う設備のスケールアップは重要な作業となる。一般的に、パイロットプラントでの処理量が約20~600 kg/hrの場合、処理量が5~8 t/hrの商業的実証プラントにスケールアップされる。これは、例えばパイロットプラントで技術的なものが確立されたにせよ、また他の分野ではより大きなスケールアップがなされることがあるにせよ、かなり規模の大きいスケールアップということになる。この段階で開発業者は、スケールアップに問題はないと主張するが、商業的実証プラントがスタートした時点で、スケールアップした設備が、設計通りの能力を出せるかどうかを初めて確認出来ることになる。実証プラントを稼働すると、パイロットプラントでは見られなかったいくつかの現象が起こる場合がある。一方では、パイロットプラントで懸念されていた処理量や供給の問題が、実証プラントではサイズが大きくなるということで解決される場合もある。このように実証プラントで得た設計ノーハウ及びプロセスの修正ポイントを総括し、経済的に成り立つような半炭化プラントの製作につなげて行くということが半炭化開発業者の課題になる。

4.プロセスの確認

一般的に基本的な半炭化プロセスは確立されているが、多くの半炭化開発業者は、いまだにプロセスの状態を最適化させることに奮闘している。経験的なことから判断すると、半炭化プロセスを制御する主なるパラメータは、温度、滞留時間、供給原料の粒度(サイズ)であり、それらはバイオマスの種類によっておのおの異なり、設備能力を最大限に引き出す上で 特に重要なファクターである。よってこれら三つのファクターについて、相互に最適な条件を見つけることが課題となる。最適なプロセスは、設備を稼働する中で試行錯誤を繰り返し、プロセスパラメータを正確に制御してみて初めて見いだされる。半炭化最適化の条件は対象バイオマスの種類によって異なり、一つの条件がどのようなバイオマスにも即座に適合するということにはならない。三つのパラメータの制御以外にも、プロセス能力を引き出すために解決しなければいけない技術的な問題が多くある。

5.製品有効性の確認

公共事業体は、半炭化製品が仕様通りの品質を持っているかどうかということについて、いまだに多くの懸念を抱いているし、石炭火力発電所では、半炭化製品の取り扱いや混焼の過程で大きな制約を受けている。おそらく、最初の大きな混焼トライアルは2011年に多く行われ、大量に生産された半炭化製品について、解砕性、取り扱い、貯蔵、輸送、燃焼性などのデータが得られることになる。半炭化開発業者にとっての課題は大量の半炭化製品を作り出すことにあるが、それらの製品は品質一定であることと、石炭火力発電所の仕様に見合う物でなければならない。現在のところ、取り扱い、解砕性、造粒性は予想したより良い状態にはなっていない。半炭化バイオマスは粉状になるとかなり反応性に富むようになり、それによって、ベルギーのAmelにある半炭化設備ではすでに発火事件も起きている。それ故、半炭化バイオマスを解砕したあとは自然発火を防ぐため、それ自身を不活性化状態の雰囲気においた方が良い。また、もう一つの課題として半炭化バイオマスの造粒がある。バイオマスが半炭化される過程ではバイオマスそれ自身のバインダーとなるリグニンの割合が減少し、効果的な造粒が出来なくなる。それ故ほとんどの半炭化業者は、半炭化ペレットを製造する時点で、生物由来の添加剤を使用する。