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バイオマス半炭化への期待と課題

半炭化製品の性質

半炭化製品は炭とよく似た性質を持つ。しかしながら半炭化製品と炭との大きな違いは、製品側に残される揮発分組成(蒸発する有機組成分)にある。炭の製造過程では、ほとんどの揮発分は蒸発し、言ってみれば不必要なエネルギーロスを生じる。その反対に、半炭化のプロセスが効果的に行われれば、多くの揮発分をバイオマス半炭化製品の中に残すことが出来る。全体的な視点から見て、完全に炭化まで移行することは、エネルギー主体で考えれば必ずしも最適な方法ではないし、半炭化を目的とする場合は炭化に必要なトータルのプロセスを行う必要もない。表1は木材、木質ペレット、半炭化ペレット、炭、石炭などの燃料を取り上げ、取り扱い、解砕性、輸送費用などの項目について、代表的な燃料特性、その他を示している。

表1 代表的な燃料としての性質

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表1で明らかなように、バイオマスが半炭化ペレットになると、取り扱い、破砕性、輸送費用などにおいて、石炭とほぼ同じような特性を示し、バイオマスに付加価値を付ける一連の処理の中で、大きなコスト削減をもたらすようになる。さらにバイオマス半炭化製品の優位性を木質ペレットと比較してみると、次のようなことが上げられる。
-半炭化バイオマスの物理的及び化学的性質により、石炭との混焼割合(カロリー比)を40%程度にまで高めることができる
-発電所の現場で半炭化バイオマスを受け入れる場合、取り扱い及び工程上、大きなコスト削減効果につながる。専用のバイオマス処理設備(例えばハンマーミル、サイロ、供給機、バーナー)が必要でなくなり、また半炭化ペレットは、より高い体積当たりのエネルギー密度を持つので、プロセス設備の小型化につながり、結局トータルの支出を抑制することが出来る。
-輸送費用に関しては、特に半炭化バイオマスがペレットにされた場合、大きなコスト削減につながる。体積当たりのエネルギー密度は、木質ペレットが7.5-10.4 GJ/m3なのに対して、半炭化ペレットは15.0-18.7 GJ/m3にもなる。
-半炭化バイオマスは、疎水性のため劣化しにくい性質を持っている。
-半炭化製品を破砕すると、球形をした均一な粉状になることが研究上知られている。これにより、微粉炭ボイラーに供給する場合、勝れた流動化特性を示す。

炭化技術とプロセス

半炭化に用いられる装置の概要を表2に示している。ここに表示されている装置の技術は、一般的に他の分野、例えば燃焼、乾燥、ガス化の工程などでも用いられている汎用的なものである。

表2 装置の概要及び関連企業

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この他に、特にCNFB Biofuels(US)社やECN(Energy research Centre of Netherlands)社において、半炭化に対する革新的な技術開発が進行中である。

半炭化装置とは別の視点になるが、半炭化の性能は如何に熱の組み合わせをうまくやるかということに強く左右される。熱は色々な組み合わせで使うことが出来るが、大体の半炭化開発者は同じような基本的要素で設計を進める。その基本的要素とは、半炭化プロセスで生じる揮発分を二次燃焼炉に導入して燃焼させ、そこから得られる燃焼ガスを予備乾燥及び半炭化プロセスに直接もしくは間接的に使用するということである。バイオマスの予備乾燥では水分を15%もしくはそれ以下にし、半炭化排出ガスを揮発分リッチの状態で炉に導入し、効果的に燃焼させることが半炭化プロセスの効率を上げることになる。もし、予備乾燥後の水分が高いと半炭化工程での滞留時間を長くとることが必要になり、また半炭化工程より発生するガスの水分を上昇させ、そのガスを燃焼炉で300゚Cから少なくとも900゚C程度まで上げるプロセスとなるので、場合によっては、ガス中の水分が多いため、燃焼不十分ということにもなる。煙突から排出される有機分のすべてを燃焼させるために、燃焼炉においては必要最小限の燃焼温度を保たなければいけない。

すべての半炭化プロセスは、同じような基本的コンセプトを持つが、三つの熱フローの組み込み方をオプションとして、図1に示す。

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図1 半炭化プロセスにおける熱の流れ

フロー①のオプション:熱風炉の燃焼ガスを、直接半炭化のプロセスに循環フローで使用するものである。このフローにすると、半炭化の工程には熱交換しない熱風炉のガスが直接入るので、バイオマスへの熱伝達は効率よく行われる。このフローの欠点は、熱風炉の燃焼ガス中に、ある程度の濃度の酸素が残存し、半炭化プロセスの効率を下げる点にある。循環量を大きくすると、ダクト、送風機、コンプレッサーのサイズが大きくなりコストアップの要因となる。加えて動力費用も増加する。

フロー②のオプション:半炭化で出た排ガスを、炭化工程に循環使用するものである。フロー①と同様に、熱風からバイオマスに効果的に熱伝達が行われ、また半炭化工程での熱風量は熱風炉からのガス量に比べて大分少ないものとなる。このことは循環経路をコンパクトに出来るが、欠点としては循環ガスの中で有機酸や有機物質の濃度が増加し、半炭化工程の中で より多くのタールが形成されることである。

フロー③のオプション:半炭化工程の熱源として過熱蒸気を直接、もしくは間接的に使用するものである。バイオマスが蒸気により直接過熱される場合は、熱伝達は効果的に行われ、雰囲気は不活性の状態に保たれる。しかしながら、半炭化ガスは水分飽和状態にあるので比較的、燃焼有効熱の少ないものとなり、揮発分を熱風炉で燃焼させる場合、効率を落とすことになる。さらに循環系統の中では、揮発分やタールで蒸気が汚れ、系統の中で局部的に冷えた部分があると、そこで凝縮するようなことが起こる。この問題への対策(特別な材質を使うとか)をとらないと、装置の腐食、汚れの原因となる。蒸気でバイオマスに熱を間接的に与える構造にすると、装置の中で部分的に高温部のスポットが出来るケースもある。特にバイオマスがその部分の過熱壁と接触すると、炭化が進み半炭化製品のロスにもつながる。一般的に、間接加熱は直接加熱に比べ、より効率の悪いものとなる。

半炭化技術の動向

世界を見渡すと、至る所で半炭化技術の開発が進められている。その中でもヨーロッパと北米で開発が著しく進んでいる。概要を下記の表3に示す。動向がほとんど毎月変わる傾向にあるので、完全な情報を表すものではない。製造能力と稼働開始時期については文献を引用したものや、時によっては半炭化製品供給者もしくは開発者の予測的なものを参考として示している。

表3 半炭化技術開発の動向

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表3により見られることは、北米における半炭化プロジェクトの動向がヨーロッパに比べて、やや具体性を欠いている。また、北米における開発業者は経済性や技術的な問題で、市場に商業プラントを出す段階には来ていない。なお、日本では、中外炉エンジニアリングと日本製紙が試験プラントを建設運転中である。