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鳥インフルエンザ感染鶏の安全・迅速処理に関する提言

「高病原性鳥インフルエンザ」発生アジア諸国に対する国際協力について
鳥インフルエンザ感染鶏の安全・迅速処理に関する提言

2004年1月、山口県阿東町の養鶏場で鳥インフルエンザ感染鶏が発見されて以来、日本各地において鳥インフルエンザによる感染事例が急増している。特に、2004年2月の兵庫県の浅田農場や船井農場の大規模養鶏感染とそれに伴うカラス等の野鳥への感染、さらに本年の1月に発生した宮崎県谷口孵卵(ふらん)場の大規模感染における大量の感染死と感染鶏の殺処分は、極めて大きな経済的打撃を与えただけではなく、他の養鶏場への感染懸念、野生生物への感染拡散懸念、また、ヒトへの感染懸念などの大きな社会的脅威となっている。
これら一連の鳥インフルエンザを発症させたウイルスは、強力な毒性を産生する高病性鳥インフルエンザウィルスであり、極めて強い感染性を有し、感染鶏を超高率で死なせる。しかし、より脅威になっていることは、感染鶏を経由して、①アヒル、ウズラ、七面鳥などの養殖鳥、②カラス、シギ、チドリ、渡り鳥などの野生鳥、③ネコ、テン、豚などのほ乳類を感染した後、動物体内でさらに強力な毒性を発揮するウイルスに変化し、ヒトに感染して大量死させることである。 ヒトの大規模感染死例としては、1918年のスペイン風邪(死者:4,000万人)、1957年のアジア風邪(死者:200万人以上)、1968年の香港風邪(死者:100万人以上)がある。昨年の2006年における鳥インフルエンザ感染による死亡は、カンボジア、中国、インドネシア、イラク、タイ、トルコ、ベトナム、アルゼバイジャンで報告されており、鳥インフルエンザによる感染は国際経済流通に伴って世界各地へ拡大の一途を辿っている。
一方、人口増加と経済発展に伴って食生活の欧米化が進み、世界の食肉生産量は、1961年の7100万トンから2001年の2億3700万トンへと増加の一途を辿っている。しかし、食肉の中でも、最も飼料高率が高い家禽肉の生産量の増加が著しく、1961~2001年の期間中の増加率は7.9倍にもなり、豚肉の3.7倍、牛肉の2.1倍、ヤギ・羊肉の1.9倍、その他の肉の1.7倍を遙かに上回っており、2001年の生産量は豚肉の9,100万トンに次いで第2位の7,100万トンになっている。特に、家禽肉生産量は、東南アジアや東アジアを含む途上国で17倍も爆発的に増加している。
この様な状況を考慮すると、今後の経済発展に伴って、養鶏を中心とする家禽飼育数は、世界的に増加の一途を辿るものと推測される。さらに、現在の世界的な鳥インフルエンザの発生状況や今後における一層の経済的流通発展を考慮すると、鳥インフルエンザの発症頻度は一層高まることが予想される。特に、近年の東南アジアや東アジアとの経済親密性は、発症頻度の増加要因になる可能性は大きい。
鳥インフルエンザによる脅威的な経済的・人命的被害を考慮すると、感染・発症発見後における早急かつ緊急のオンサイト処理による拡散防止処理法の構築が最重要課題である。オンサイト処理は感染地点や発症地点から感染拡散を防止する最も有力かつ適切な手段である。本年1月の宮崎県の発症事例では、処理対象物を焼却施設へ輸送し、焼却処理を行っている。しかし、感染・発症地から処理地への輸送において、感染拡散を防止するためには、処理物の消毒、処理物の密閉容器への封入、輸送に伴う発症・感染地点からの土壌等の搬送の徹底防止、交通事故にも破損しない頑強な輸送車の準備、焼却処理炉における完全殺菌可能な処理対象物の投入装置など、が不可欠な条件となり、極めて経済的高率と危険性が高い処理法である。
一方、2004年2月の兵庫県浅田農場の場合には、処理対象物の埋め立て処理が行われている(後日に埋め立て物の焼却処理が実施された)。この方法では、処理物は最終的に腐敗ぶつとなり、埋め立て周辺地の土壌や地下水汚染を引き起こすことになり、根本的な処理法ではない。

上記の家禽肉生産、経済的流通状況、鳥インフルエンザ感染地等を考慮すると、日本各地で鳥インフルエンザの感染事故発生の可能性が否定できない。従って、日本各地の発症事故に対処するためには、オンサイトで処理できる移動式焼却処理装置を整備することが、最も有効かつ経済的な処理方法である。発症後の速やかな処理を考慮すると、一日以内で現地に輸送可能な複数の処理装置保管場所を設置する必要がある。早急に、国や自治体の責任において処理対策法の早期構築を希望する。

更に日本政府として国内への感染を未然に予防する観点から、発生国において迅速にオンサイトで処理できる移動式焼却処理装置を政府開発援助で早急な構築を提言する。

 

参考資料
1.高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び発症事例(2003年11月以降)厚生労働省
(WHO・各国政府の正式な好評に基づく)   (2006.10.31WHO最終更新)
2.かながわ環境カンセラー 講演会 BSE問題講演資料  (平成14年5月25日)